自己血オゾン療法/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
2019-05-21
自己血オゾン療法
自己血オゾン療法は、自分の血液とオゾンガスを反応させて、身体の免疫力を高める安全で副作用のない治療法です。
ドイツ・イタリアでは、1万人以上の医師が年間100万人以上の患者に施術している治療方法です。
40年以上前にドイツで開発され、イギリス、ドイツ、スイス、イタリア、オーストリア、ロシア等のヨーロッパ諸国では、既に確立、認知された治療法で、アンチエイジング、動脈硬化疾患、関節、筋肉などの運動器疾患、そして癌治療にまで応用されています。
中でもドイツでは、オゾン治療は、オゾン治療の専門病院が存在するほど、スタンダードかつ安全な治療法です。
他にも、老人性網膜変性疾患、アトピー性皮膚炎などアレルギー・自己免疫疾 患にも用いられます。(投与量により免疫調整作用)、また、免疫力を上げる作用に優れ、がんの補完療法として外科手術後に使用されています。
自己血オゾン療法の歴史について
オゾンの歴史上のパイオニアには、Christain Friedrich Schonbein(1799-1868)が科学の実験中にオゾンという気体を発見した者として知られています(1840)。この時に、ギリシャ語のOZEIN(臭う)からOZONEと命名されました。
その後、オゾンを使っていた歯科医E.A.Fisch(1899-1966)の患者だった外科医のErwin Payrが、外科にもオゾンを使えないか?ということで始まったのが、医科でのオゾン療法の始まりです。また、Joachim Hansler(1908-1981)は初めて医療用オゾンの発生器(ジェネレーター)を造った人物として知られています。
日本でもオゾン療法は戦前から歯科治療で用いられていました。日大の先生たちによって、歯周病や歯槽膿漏に対し盛んに研究も行われていました。歯周病には良い成績だったことが報告されています。しかし、戦後、オゾンがオキシダントであり、有害だという風説が流れてからは完全に途絶えてしまいました。
ヨーロッパではオゾンの研究は脈々と続いており、最も盛んなのはイタリアやドイツで1万人以上のドクターが、年間100万人以上の患者に施術を行っています。最近の近代オゾン療法の草分けと呼ばれるボッチ教授はイタリア人ですが、実際に治療を行っている先生の数ではドイツが主流になります。ドイツ、イタリア、イギリスでは、何十年と治療が行われています。
自己血オゾン療法の種類ついて。
自己血オゾン療法には、少量自家血(浄化)療法(Minor Autohemotherapy)と、大量自家血(浄化)療法(Major Autohemotherapy)=MAHがあり、日本では、大量自家血療法のことを血液クレンジング療法とも呼んでいます。
大量自家血療法は100ccの血液を専用瓶に採血し、そこにオゾンガスを混合し、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。少量自家血療法は3~5ccの血液をオゾン化して、筋肉注射で体の各所に打つという治療法です。
血液にアプローチする酸化療法
適量の酸化ストレスを、様々な方法で投与することにより、自分自身の抗酸化力(活性酸素を取り除く能力)、免疫力(がん・ウイルス・細菌などに対する抵抗力)を強化する治療法です。
身体に計算された適量の酸化ストレスを与えることで、血行促進、体内の酵素化、がん細胞への攻撃、免疫機能・抗酸化機能の向上などの効果を引き出します。
自分の血液を利用した薬害の無い安全な治療で、酸化療法により強化された自分の抗酸化能力は治療後も長期持続する事が分かっています。
血液の健康が、私たちの健康にとってとても重要な理由について
1.血液は、口から入る栄養素で作られる。
2.人間の血液量は体重の13分の1と言われ体重60㎏の人であれば約4.5㎏の血液量がある。
3.血液は総延長9万㎞の血管網を通り酸素や栄養素、ホルモンを全身に運ぶ大切な役割があり流れる臓器と言われている。
4.豊富で多様な抗酸化物質により細胞を守る働きをしている。
全身の抗酸化力を高め、全身的な健康改善効果を得るには、全身すみずみに行き渡っている血液に対して適切な酸化ストレスを与えるのが最善の方法です。
治療方法について
Step1:先ず、20Gの翼状針を用いて血液を採取します。治療のイメージは、点滴治療と同じと考えてください。注意事項は、血管の細い方には施術が出来ない場合があります。ご自分の血液100mlは、滅菌されたガラス点滴瓶の中の陰圧で自動的に採取します。採取したオゾン反応前の血液は、お体の健康状態にもよりますが、一般的に赤黒い色をしています。
Step2:ドイツ製オゾン発生機で、適正量のオゾンガスを生成。使用するオゾンの量は、とても大切なので年齢や体重などで調整を行います。
Step3:ガラス瓶の中で採取したご自分の血液と正確に測定した最適のオゾンを混和反応させます。血液とオゾンが反応すると、赤黒い血液が鮮やかな赤い色に変わります。これで、代謝と免疫系を活性化した血液になるのです。
Step4:オゾンで活性化された血液は、そのまま点滴ルートを通して20分程度で戻します。冷え性の方は、治療後から身体がポカポカと温まるのを実感したり、視界が明るくなったとの声も
オゾンの体内での反応機序
血液とオゾンガスが反応すると何が起こっているのか?
- 体内の酸素化。特に普段、酸素が行き渡らない虚血部位の酸素化です。
- 血液流動性の改善による末梢循環の改善。
- 免疫機能の向上。
- 細胞を活性化することによってATP産生の増加、SOD等の上昇で抗酸化力を向上させる。
- 抗加齢に対する効果
自己血オゾン療法前後の抗酸化力の変化
酸化ストレスや抗酸化力を計測するFRAS4という測定器によって、クレンジング前後の患者様の抗酸化力(BAP)を測定してみると、殆どの症例で有意にBAPが上昇します。このデータの中から、もともと抗酸化力の低い人を取り上げてみると、もともと抗酸化力が低い人は、クレンジングによって抗酸化力が特に上がっています。
血液クレンジング前後の酸化ストレス(d-ROM)の量は変わらないか、少し下がる傾向があるようです。この結果は、血漿の消去系などの働きによって、血液クレンジングが酸化ストレスにはなっていないことを示しており、酸化療法の理論の裏付けとなるものです。
期待できる効能について
- 血液中の酸素飽和度を向上させます。
- 血管を柔らかくして、血液の循環を改善します。
- 細胞の若返りを促進します。
- 病気にかかりにくい体質を維持します。
自己血オゾン療法の注意事項
- 禁忌は、甲状腺機能亢進症とG6PD欠損症です。
- 極端に静脈血管の細い方は、血液を採取できません。
- 妊娠・授乳中の方
自己血オゾン療法と高濃度ビタミンC点滴
自己血オゾン療法と高濃度ビタミンC点滴は相性が良いといわれています。しかし、気をつけなければいけないのは、血漿中にはもともと抗酸化物がたくさんあることです。
血中に大量のビタミンCやEがあるところで血液クレンジングを行うとどうなるのか?ということを検証したデータがあります。ビタミンE=αトコフェロールは血中濃度に変化はありませんが、ビタミンCの活性は著しく低下します。
この結果から注意しなければならないのは、血液クレンジングと高濃度ビタミンC点滴を行う時に、最初にビタミンCを点滴してから血液クレンジングを行うと、お互いに相殺されてしまうので良くないということです。最初に血液クレンジングを行い、次にビタミンC点滴というのが適切な順序です。
副作用
当院では重篤な副作用は見受けられません。しかし、以下の副作用が予想されます。
1:オゾンによる副作用
オゾンの投与量が過多であった場合、施術後にだるさを感じることがあります。このだるさは、特別な処置をしなくても、約12〜24時間程度で改善されます。
2:使用する以下の抗凝固剤による副作用
ヘパリンナトリウム(重大な副作用(頻度不明)):ショック、アナフィラキシー、出血、血小板減少、HIT等に伴う血小板減少・血栓症
クエン酸ナトリウム:しびれ
未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示
本治療に用いる未承認医療機器は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものですが、「医師等の個人輸入」により適法な輸入許可を得ています。
日本では、未承認医療機器を、医師の責任において使用することができます。
未承認医療機器についての情報「個人輸入において注意すべき医薬品等について(https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/healthhazard/ へのリンクを設置してください)」もご覧ください。
国内の承認医薬品等の有無の明示
本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医療機器はありません。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
本治療に使用するオゾン発生機、その専用器具は、EU内における医療機器として認証されたものです(認証年月日:1993年6月14日)。
本治療の代表的な書籍とされている「オゾン療法 第2版」によりますと、以下の記載がされています。
第7章(オゾンの潜在的な毒性:オゾン療法の副作用および禁忌)より
- ドイツ,オーストリア,スイス,イタリアで数百万回の自家血オゾン療法セッションが行われた後にも,重篤な急性または慢性の副作用や癌の発生率の増加は報告されていない.
- これまでのところ,我々の実験データと臨床的エビデンスは何らリスクを示していない.Jacobs(1982)は,オゾン療法に考えられる全ての悪影響について慎重に調査した.オゾンは「毒性」で知られているにも関わらず,その発生率はわずか0.0007%であり,医薬品の中でも非常に低い値となっていた.
- コネリアーノ(ヴェネト州)の病院に長く勤務してきた非常に几帳面なオゾン療法士であるGiuseppe Amato医師は,自家血オゾン療法による治療を数年間受けた患者1,000例で軽度の副作用しかなく,後遺症はなかったことをヴェローナ議会(1999)で報告した.
- シエナ大学病院での我々の経験も重要である.我々は1995年以来,大量自家血オゾン療法を加齢黄斑変性患者で約8,000回,線維筋炎患者で約100回(~その他の投与方法は省略 ~)をしてきている.(〜略〜)2000年6月から2004年3月まで我々は,新しい無毒なシステム(ガラス等)と血液に対して正確な量の3.8%クエン酸Na(用量で1:9,又は25~225mL若しくは例外的に30~270mL)を使用し,オゾン濃度を緩やかに増加(通常10 μg/mLから60μg/mLまで)させるようにした.上に述べたすべての副作用はみられず,他の副作用も生じなかった.さらに,アレルギー様の不耐性も観察されなかった.